論語は多くのリーダーに読み継がれてきました。古くは聖徳太子、そして徳川幕府を開いた徳川家康、農民聖人と言われた二宮尊徳、日本人の精神を「武士道」という書物で世界に発信した新渡戸稲造、我が国の資本主義の父と言われ、論語を基盤として多くの企業や団体の設立に関わった渋沢栄一などは、論語の実践者として有名です。
さらに、「論語の活学」等を表し、吉田茂や岸信介などの政治家や三井、三菱などの経済界リーダーから慕われた安岡正篤、京セラの創業者でJALの再建を果たした稲盛和夫なども、論語を基本として多くのリーダーを養成してきました。このように、混迷の時代、有名・無名を問わず数多くのリーダーたちが論語を熟読し、判断の「よりどころ」にしてきたのです。
特に、徳川家康は、自ら論語を学ぶだけでなく、武士に論語を学ばせました。江戸時代は、士農工商という身分制度がありましたが、藩校や寺子屋で武士から商人にいたるまで、論語を学んでいたのです。こうして、江戸時代の日本人は、世界で一番識字率が高いと言われているのです。
その逸話として、1854年に日本と和親条約を結んだペリー提督は、自伝の中で、「私は 世界をいろいろ航海してきたが、日本人のように落ち着いた華麗さと、威厳を持った国民に出会ったことがない」と記しています。当時の日本人は、「論語」に描かれる理想の人間像を求めて、論語を学んでいたのです。
この日本人の精神を世界に発信したのが、新渡戸稲造です。新渡戸稲造は、1900 年に「武士道」という本をアメリカで出版します。原文は、英語で書かれており、世界でベストセラーになりました。当時のアメリカ大統領セオドアルーズベルトも「武士道」を絶賛し、家族、友人、知人に配ったという逸話が残されています。
そして、日本の経済界をリードした渋沢栄一は、商業道徳を指導する際の拠り所として論語を活用しました。世界の中で日本の商慣行が優れていたのも、渋沢栄一の実践哲学としての「論語と算盤」があったからにほかなりません。
このように、論語は、日本の中で独自に進化し、日本人の心の拠り所として生き続けています。今後、日本が世界のリーダーとして世界平和に貢献するために、そして、子供たちが凛とした日本人として世界中で活躍する時代を拓くためにも、論語を学びたいものです。
自らの人生指針となり、また、地域づくりを進めるリーダーとして必要な素養を身に付けることができる論語を学び、実践していきましょう。